新規のマウス乳癌発癌モデルによる
乳癌の発生・進行メカニズムの解明

つい先日(2018年8月)漫画家のさくらももこさんが乳癌のため亡くなりました。未だ50代と若すぎることもショックでしたが、原因が乳癌と報じられた時、ああまたなのか、とやるせない気持ちになられた方も多かったのではないでしょうか?

乳癌は女性がかかる癌の中でも、40代から50代の女性で特にリスクの高い癌です。国立がん研究センターの2016年度の統計では、その年に癌で亡くなった約15万人の女性について原因となった部位を多い順に並べると乳房は第5位ですが、40代と50代に限ると第1位となり、54歳未満では全体の30%近くを占めています。治癒した人も含めた全罹患率で見てみると、1人の女性が一生のうちに乳癌にかかる可能性は9%、言い方を変えれば全ての女性のうち、11人に1人は一生のうちに1度は乳癌を経験するということになります。

しかし、これほど身近な癌でありながら、乳癌が体の中でどう発生し、どう進行していくのかはまだよく分からないのだと言います。その為に確実な予防方法も確立できず、なるべく早く発見して治療するしかないのだそうです。

2017年度第2回基礎研究グラント奨励賞を受賞された伊東潤二(いとう・じゅんじ)さんは、マウスを使って人工的に乳癌を発生させる実験から、乳癌の発生と進行の仕組みを解明し、乳癌の予防方法を確立しようとされています。

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ご研究について

Q1. ご研究の内容について、一般の方向けに簡単にご紹介ください。

乳癌がどのようにできるのか、また、どう進行していくのか、について、十分な研究ができていない。そのため、乳癌の確かな予防法が提案されていない。その原因として、生体内の乳癌の発生・進行を実験で調べる方法が無いことが挙げられる。本研究は、マウスに乳癌を発癌させる新規の実験方法を用いて、乳癌の発生・進行のメカニズムを解明する。そして、それらを基に、乳癌の予防法の研究を行う。

本研究の発癌モデル系では、変異マウスの乳腺組織で、乳癌患者で見られる乳管の異常が観察される。その異常が、分子レベルで、どのような原因で起こるのかを調べるために、どのような遺伝子が異常な乳管で働いているのかを調べる。そして、それを抑える物質を探索し、発癌モデル系で検証することで、乳癌の予防法に繋がる知見を得る。本研究は、乳癌研究に新たな展開をもたらし、革新的な乳癌予防法の開発に貢献するものである。

Q2. このテーマを選んだきっかけ、この研究を始めようと考えた理由を教えてください。

一般的に、病気を治すには、その原因を抑えるのが効果的である。しかし、乳癌では、原因が明確でなく、それができていない。その解決のために、乳癌の発生・進行を実験的に調べる必要があると考えた。

Q3. このテーマのユニークなところ、面白いところなどPRポイントを教えてください。

面白いところは、乳癌ができて進行していく過程を研究できるところである。この発癌モデル系を発展させれば、これまでにない乳癌研究が展開でき、それは革新的な乳癌の予防法・治療法の開発に繋がると期待できる。

Q4. この研究の難しいところ、特にご苦労されていることを教えてください。

新しい研究であるため、まだ実績がないことである。

Q5. 採択決定後、研究は開始されましたか?

  • 開始し、進行中

Q6. (開始済みの方へ)研究の今後の発展、見通しについて教えてください。

今年度中には、発癌モデル系と予防法の提案の論文を作成する。

Q7. 英語論文の投稿や、国際学会での発表のご予定はありますか?

  • 論文を投稿する予定

あなたご自身について

 

Q8. 研究者になりたいと最初に思ったのはいつでしたか?

  • 大学院(修士)

Q9. 研究者になりたいと思ったきっかけを教えてください。

教授や先輩の勧めがあったことから、自分が研究者に向いているのではないかと感じた。

Q10. ご自身の研究者としての「強み」は何だと思いますか? また研究者としての弱みはありますか?

強みは、アイデアに困らないことと、論文作成の方法を身に付けていることである。また、結果をポジティブに捉えることである。弱みは、十分に活動できるポジションが得られていないことである。

最後に

Q11. エディテージ・エッジWebサイトをご覧になる若手研究者、研究者を目指す学生さんへメッセージをお願いします。

精一杯やること。自分に満足しないこと。楽しむこと。